目次
  1. 1. 工事業界におけるM&Aの背景
  2. 2. M&A仲介会社の役割と種類
  3. 3. 工事業M&A総合センターの概要
  4. 4. 工事業M&A総合センターの特徴
    1. 4-1. 売り手から仲介手数料を取らないビジネスモデル
    2. 4-2. 工事業界に特化した専門知識
    3. 4-3. 全国対応とネットワークの広さ
    4. 4-4. 成約後のフォローアップ体制
  5. 5. 売り手が手数料無料でM&Aを行うメリット
    1. 5-1. コスト負担の軽減
    2. 5-2. より柔軟な譲渡条件の設定
    3. 5-3. 経営者の心理的ハードルの低減
  6. 6. 買い手にとってのメリットと留意点
  7. 7. 工事業の特殊性とM&Aの意義
  8. 8. 工事業M&Aの一般的な手続きの流れ
    1. 8-1. 初期相談・情報開示
    2. 8-2. マッチング・打診
    3. 8-3. 基本合意書の締結
    4. 8-4. デューデリジェンス(DD)
    5. 8-5. 最終契約書の締結・クロージング
  9. 9. 工事業M&A総合センターが提供する具体的サービス
    1. 9-1. 企業価値評価
    2. 9-2. 買い手への提案・交渉支援
    3. 9-3. クロージング業務サポート
    4. 9-4. 成約後の統合作業サポート
  10. 10. 成約事例から見る工事業M&A総合センターの強み
    1. 10-1. 地域密着型工事会社の譲渡事例
    2. 10-2. 技術力を有する下請け企業の譲渡事例
    3. 10-3. 将来性のある新分野参入のためのM&A事例
  11. 11. 工事業M&A総合センターを利用する流れ(売り手向け)
  12. 12. 工事業M&A総合センターを利用する流れ(買い手向け)
  13. 13. 工事業M&Aの成功を左右するポイント
  14. 14. よくある質問(FAQ)
  15. 15. まとめ

1. 工事業界におけるM&Aの背景

工事業界は土木・建築・設備・リフォームなど多岐にわたり、公共事業から民間企業の施設工事まで幅広い案件を担っています。日本においては、高度経済成長期からバブル期にかけて多くの建築物やインフラが整備され、これらのメンテナンス需要や更新需要が大きな市場を形成してきました。しかし、近年では少子高齢化による労働人口の減少や技術者の高齢化が進んでおり、業界における人材不足・後継者難が深刻化しています。

さらに、新型コロナウイルス感染症の流行や世界的な経済不安、資材価格の高騰などの影響も重なり、工事業界の先行きは不透明感を増しています。こうした環境のなかで、企業規模の拡大や経営基盤の強化、あるいは事業承継の手段としてM&Aを活用する動きが急速に高まっています。特に地方の工事会社では、長年にわたり地域密着型のビジネスを展開してきたものの、後継者不足により廃業が検討されるケースが増加。企業オーナーがM&Aを通じて事業を継続させたいと考える事例が増えているのです。

このような業界構造の変化に伴い、大手ゼネコンや不動産デベロッパーだけでなく、中小規模の工事会社も積極的にM&Aを模索する時代となりました。工事業のM&Aは、単なる買収・売却だけでなく、技術や許可、顧客基盤の取得、または人的資源の確保を目的とするケースも少なくありません。そのため、工事業界特有の事情や技術的な背景を理解し、市場動向や行政手続きなどを踏まえたきめ細やかなサポートが求められます。


2. M&A仲介会社の役割と種類

M&Aを進める際、多くの場合は仲介会社が重要な役割を果たします。企業間のマッチングから契約交渉、クロージングに至るまで、多岐にわたる実務をサポートしてくれるからです。M&A仲介会社には以下のような種類があります。

  1. 総合M&A仲介会社
    幅広い業種・規模の企業を対象とする仲介会社。大手のM&A仲介会社は企業ネットワークが豊富で、業種を問わず数多くの案件を取り扱う強みを持ちます。ただし、工事業界独特の知見や専門領域においては必ずしも得意とは限りません。
  2. 業種特化型M&A仲介会社
    特定の業種にフォーカスして案件を扱う会社。工事業界特化の仲介会社は、工事許可の取り扱い、建設業法などの法規制への理解、さらには現場技術や下請け構造の理解など、専門性の高い支援が可能です。このような業種特化型の仲介会社は、工事業界の人脈や情報網を活かし、スムーズなマッチングと交渉が期待できます。
  3. フィナンシャルアドバイザー(FA)
    仲介ではなく、売り手企業または買い手企業のどちらか一方にだけ助言を行う形態。企業価値評価やストラクチャーの構築、交渉方針の策定など専門的なアドバイスを提供しますが、相手方とのマッチングは別ルートで行うことが多く、仲介会社と併用されることもあります。

工事業M&A総合センターは、このうち「業種特化型M&A仲介会社」に該当します。工事業界ならではの課題やポイントを深く理解し、売り手・買い手双方にとって最適なM&Aをプロデュースできるところに大きな特徴があります。


3. 工事業M&A総合センターの概要

「工事業M&A総合センター」は、工事業界におけるM&Aのサポートに特化した仲介会社(サービス名)です。長年にわたって培われた工事業界のネットワークと知識を駆使し、事業承継・会社譲渡・企業買収など多様なニーズに対応しています。大きな特徴としては、売り手から仲介手数料を一切取らないというビジネスモデルを採用している点が挙げられます。

工事業界に特化しているため、工事許可や資格の引き継ぎ、公共工事の入札参加資格の移転、経営事項審査(経審)の得点や下請け先の確保など、業界固有の論点を正確に押さえた支援を提供できることが強みです。さらに、全国の工事会社とのネットワークを形成し、地方都市や過疎地域においても売り手・買い手のマッチングを積極的に行っています。

工事業M&A総合センターが目指すのは、「後継者不足の問題を解決し、優れた技術や実績を有する企業が途絶えることなく未来へと継承されること」。社会のインフラや施設を担う工事業だからこそ、その事業継続性は地域経済にとっても極めて重要です。単なる企業譲渡だけでなく、買い手側にとっても競争力の強化や新分野参入の足がかりになるなど、工事業のM&Aにおける多面的な価値創出をサポートしています。


4. 工事業M&A総合センターの特徴

ここでは、工事業M&A総合センターが持つ主な特徴を4つの視点から解説します。

4-1. 売り手から仲介手数料を取らないビジネスモデル

最も顕著な特徴は、**「売り手から仲介手数料を取らない」**というビジネスモデルです。多くのM&A仲介会社では、クロージングが成立した際に売り手・買い手双方から手数料を受け取る「両手仲介」方式を採用しています。特に、売り手からも買い手からもそれぞれ手数料を受け取るスタイルが一般的です。

一方、工事業M&A総合センターでは買い手側からの手数料のみでビジネスを成立させているため、売り手企業にとっては極めて利用しやすい仕組みとなっています。小規模な工事会社のオーナーが後継者難で悩む中、「M&Aをしたいが費用面が心配」という理由で諦めてしまうケースを減らしたいという理念が根底にあるのです。

売り手から手数料を受け取らないことは、売り手オーナーにとっての心理的ハードルを大きく下げるだけでなく、「売り手に寄り添った支援を提供したい」という同センターの姿勢の表れとも言えます。また、買い手側にとっても、マッチングが成功しなければコンサルティングフィーを支払う必要がないなど、合理的かつ透明性の高い料金設定を提示しています。

4-2. 工事業界に特化した専門知識

工事業M&A総合センターは、工事業界でのM&A仲介実績が豊富であり、専門家チームが現場視点の助言を行います。建設業法や労働安全衛生法などの法規制、入札参加資格の継続条件、経審に関する知識はもちろん、工事業界に特有の下請け構造や技能者確保の問題などにも精通しているのです。

この専門知識があるからこそ、売り手企業の強みを正しく把握し、買い手企業に対して的確にアピールすることが可能になります。また、工事内容やライセンスの引き継ぎに関するリスク評価も丁寧に行い、M&A後のトラブルを未然に防ぐサポートを充実させています。

4-3. 全国対応とネットワークの広さ

工事業M&A総合センターは、全国各地の工事会社と連携ネットワークを構築し、地方の企業にも対応可能です。都市部と比較すると、地方都市では後継者不足がより深刻化する傾向にあり、また地域限定の密着型企業が多いという特徴もあります。そのため、地域に根差しながらも広域での事業拡大を狙いたい買い手企業とのマッチングには大きな可能性があります。

同センターは、こうした地域性を踏まえて、売り手企業の希望条件や買い手企業の事業展開戦略を考慮しながら最適なマッチングをサポートします。たとえば、都市部の大手工事会社が地方での営業拠点を確保したい場合や、地方企業が都市部の優良顧客や技術を取得したい場合など、双方向のニーズを丁寧に汲み取り、円滑にM&Aを進める体制を整えています。

4-4. 成約後のフォローアップ体制

M&Aはクロージングがゴールではありません。実際には、譲渡後の従業員や協力会社のフォロー、顧客への説明、各種許認可の名義変更など、成約後の統合プロセスにこそ多くの時間と手間がかかります。工事業M&A総合センターでは、成約後も必要に応じてサポートを続ける体制を整えています。

とりわけ、工事会社の場合は現場のリーダー層や職人の定着が重要な要素です。成約後に大切な人材が離脱してしまうと、業務に大きな支障をきたす恐れがあります。そこで、M&A前の段階から従業員の待遇・雇用継続条件を明確化し、可能な範囲での面談サポートも実施。大きな環境変化を従業員が安心して乗り越えられるよう、工事業界の現場事情を踏まえた細やかなフォローを行っています。


5. 売り手が手数料無料でM&Aを行うメリット

工事業M&A総合センターが採用する「売り手手数料無料」の仕組みは、売り手企業にとって数多くのメリットをもたらします。その代表的なものを以下にまとめます。

5-1. コスト負担の軽減

M&Aの仲介手数料は、成約額に応じて数%〜10%程度に設定されることが一般的で、譲渡金額が大きければ大きいほど売り手の負担も増えます。特に小・中規模の工事会社にとっては、最終的な譲渡対価から数百万円、場合によってはそれ以上の手数料が発生することは大きな痛手となりかねません。

売り手側からの手数料が不要であれば、実際に手元に残る金額が増えるほか、「仲介手数料を支払ってまでM&Aを実施する必要があるのか」と悩む心理的負担も軽減されます。

5-2. より柔軟な譲渡条件の設定

手数料が売り手に課される場合、売り手は譲渡額の調整や条件の変更に慎重になることがあります。譲渡額を高く設定したい気持ちが強くなる半面、買い手との交渉が難航する可能性もあります。しかし、売り手側に手数料負担がなければ、金銭面での妥協点を見つけやすくなり、買い手との交渉がよりスムーズに進むケースがあります。

「将来の従業員の待遇を優先したい」「役員として一定期間は残りたい」といった金銭以外の条件についても、柔軟に取り入れやすくなる点は大きなメリットです。

5-3. 経営者の心理的ハードルの低減

M&Aにおいて経営者が感じる不安要素のひとつに、「M&Aを行うことで結果的に損をしてしまうのでは」という懸念があります。特に後継者難に直面している企業では、「廃業するくらいならM&Aを検討したいが、手数料負担が大きすぎると結局同じ」という声も珍しくありません。

手数料無料であれば、仮に最終的に希望の条件で成立しなかったとしても大きなリスクを負わずに済みます。ある意味で、経営者が気軽に相談しやすい環境を整えていると言えるでしょう。これにより、本来であれば優良な技術や顧客基盤を持つ企業が「手数料負担が重い」という理由だけでM&Aを断念する事態を防ぎやすくなるのです。


6. 買い手にとってのメリットと留意点

一方、買い手側からすると、「売り手が手数料を負担しないのであれば、その分を買い手が負担することになるのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。工事業M&A総合センターでは、買い手企業からの着手金や成果報酬によって収益を得ていますが、その料金設定や支払いタイミングは透明化されており、**「譲渡価格の高さを追求しすぎるあまりにM&Aが不成立となるリスク」「不明瞭な手数料が上乗せされるリスク」**は低減されています。

また、買い手企業が工事会社を取得する際には、次のようなメリットが挙げられます。

  • 工事許可・経審点数・入札参加資格などをスピーディーに獲得できる
  • 既存の職人・技術者・建機などをまとめて確保できる
  • 地域社会での信用(ブランド)や既存顧客基盤をそのまま活用できる
  • 事業規模の拡大やシナジー効果を期待できる

ただし買い手側としては、デューデリジェンスにおいて過去の不正受給や談合の履歴がないか工事事故などのリスクを充分に確認する必要があります。工事業M&A総合センターではこうしたデューデリジェンスのサポートも行っており、買い手が安心してM&Aを進められるよう支援しています。


7. 工事業の特殊性とM&Aの意義

他の業界と比較して、工事業界特有の事情としては以下のようなポイントが挙げられます。

  1. 許可や資格の継承
    建設業の許可や電気工事業の登録など、法的に必要な許認可が多数存在します。会社の株式譲渡であれば許認可をそのまま引き継げる場合が多いですが、事業譲渡形態だと改めて許認可手続きを要するなど、形態によって手順が変わります。
  2. 下請け構造の複雑さ
    ゼネコンやサブコンを頂点とする多重下請け構造が一般的なため、仕事の受注形態や支払い条件、各協力会社との関係などが複雑になりやすいです。
  3. 人材確保の難しさ
    若年層の建設業離れが深刻化しており、熟練技能者の高齢化も相まって人材不足が顕在化しています。M&Aによって技術者集団を一括で獲得し、事業を継続・拡大させることは大きな意味を持ちます。
  4. 公共工事への対応
    国や自治体からの公共工事を受注するには、入札参加資格や経営事項審査が必要となり、実績や財務状況が問われます。M&Aで一定の実績や経審点数を持つ企業を買収することで、大幅な時間短縮とリスク軽減が可能となります。

工事業におけるM&Aの意義は、上記のような課題を効率的に解決できる手段である点にあります。事業承継がスムーズにいかない場合でも、M&Aならば地域経済や雇用を守りながら企業のブランドや技術力を継続させることが可能です。一方で、買い手側も新規参入や事業拡大を短期間で実現できるため、Win-Winの関係が築きやすいのです。


8. 工事業M&Aの一般的な手続きの流れ

ここでは、工事業界に限らず一般的なM&A手続きの流れを簡潔に説明します。ただし工事業特有の許認可関連手続きは別途考慮が必要です。

8-1. 初期相談・情報開示

  • 売り手企業は、自社の現状や今後の方向性、希望条件などを工事業M&A総合センターに相談します。
  • 同時に、買い手企業も事業拡大や新規参入の目的を伝え、希望する地域・業種・規模感などを共有します。
  • ここで必要となるのが、会社概要や財務情報、許認可状況などの一次的な開示です。

8-2. マッチング・打診

  • 売り手企業と買い手企業のニーズを照合し、合致度が高いと判断された場合、双方に案件情報が打診されます。
  • 売り手企業は、買い手候補の企業名や事業概要、提案内容を確認し、検討の上で交渉へ進むか判断します。
  • この段階では機密保持契約(NDA)を結ぶのが一般的です。

8-3. 基本合意書の締結

  • 具体的な交渉が進んだ段階で、譲渡価格やスケジュール、譲渡対象の範囲、雇用条件などの大枠を定めた基本合意書(LOI)を締結します。
  • これには独占交渉権の設定や守秘義務、最終契約に向けた条件などが含まれます。

8-4. デューデリジェンス(DD)

  • 買い手企業が、売り手企業の財務・税務・法務・労務・事業内容などを詳細に調査します。工事会社の場合は、公共工事の実績や下請け構造、協力会社との契約関係、保有資格の有効性なども重要な調査項目です。
  • この調査結果を踏まえて、最終的な譲渡価格や条件を修正することがあります。

8-5. 最終契約書の締結・クロージング

  • デューデリジェンスの結果が良好であれば、最終契約(株式譲渡契約や事業譲渡契約など)の交渉に入ります。
  • 契約書の内容が合意に達した段階で署名・捺印し、譲渡対価の支払いと株式や事業の引き渡しが行われるクロージングを迎えます。
  • その後、許認可の名義変更や顧客・取引先・従業員への周知、統合プロセスが進行します。

9. 工事業M&A総合センターが提供する具体的サービス

工事業M&A総合センターは、上記の一連の流れを円滑に進めるために、以下のような具体的サービスを提供しています。

9-1. 企業価値評価

  • 売り手企業の財務諸表や将来予測、受注状況、技術力、社員のスキルセット、保有資格など多角的に分析し、公正な企業価値を算定します。
  • 工事業界特有の評価項目(入札参加資格、経審点数、公共工事の実績など)を正確に反映した評価レポートを作成するため、買い手との交渉に説得力を持たせられます。

9-2. 買い手への提案・交渉支援

  • 買い手候補企業に対しては、譲渡企業の強みや収益構造、将来展望をわかりやすくまとめた資料を提示し、興味を喚起します。
  • 初期面談のスケジュール調整やオンライン会議の設定、条件交渉の進行管理なども担当し、コミュニケーションを円滑に図る役割を担います。

9-3. クロージング業務サポート

  • 基本合意に至った後のデューデリジェンスや最終契約書の作成・修正をサポートします。
  • 法律事務所や税理士事務所との連携もスムーズに行い、許認可の継承や人員配置計画、協力会社への説明など実務面での課題解決も支援します。

9-4. 成約後の統合作業サポート

  • クロージング後には、従業員への説明会や、顧客・取引先への周知、協力会社との関係継続などの統合プロセスをサポートします。
  • 必要に応じて新体制の構築支援や、アフターM&Aにおける問題解決のコンサルティングも実施し、円滑な事業運営をバックアップします。

10. 成約事例から見る工事業M&A総合センターの強み

工事業M&A総合センターがこれまでに取り扱った事例のなかから、代表的なケースを3つ取り上げて、その強みを具体的に解説します。

10-1. 地域密着型工事会社の譲渡事例

ある地方都市で30年以上にわたり小規模なリフォーム工事や公共工事を手掛けてきた企業A社。社長が高齢化し、後継者がいないため廃業を検討していたところ、工事業M&A総合センターに相談がありました。センターは地域に根ざしたネットワークを活用し、同地域で事業拡大を図っていた中堅工事会社B社をマッチング。B社はA社が持つ公共工事実績と地元顧客基盤に大きな魅力を感じ、最終的に円満にM&Aが成立しました。

この事例では、売り手であるA社は手数料無料で譲渡を実現できただけでなく、従業員や顧客との信頼関係もスムーズに引き継ぐことができました。B社側にとっては、業務拠点を増やし、経審点数も向上するというメリットがあり、相互にプラスとなった成功例です。

10-2. 技術力を有する下請け企業の譲渡事例

大手ゼネコンの下請けとして優れた施工技術を持つC社が、代表者の体調不良や後継者不在により経営継続が困難になっていました。そこで工事業M&A総合センターがC社をサポートし、同社の「特殊な施工技術」や「人材力」を強くアピールすることで、技術を取り込みたいD社が買い手として現れました。

D社はC社を買収することで、特許技術と熟練技術者を確保し、自社の施工能力を格段に向上させることに成功。C社の従業員は引き続き同じ現場で働ける環境が整い、結果として双方に利益をもたらすM&Aとなりました。工事業M&A総合センターの専門知識と交渉力が活きた事例です。

10-3. 将来性のある新分野参入のためのM&A事例

近年、太陽光発電や省エネ設備などのエコ関連工事が注目を集めています。E社は従来のリフォーム事業だけでなく、省エネ設備の設置工事に参入したいという計画を持っていましたが、ノウハウと実績が不足していました。そこで、エコ関連工事で一定の実績を持つF社が譲渡を検討していることを工事業M&A総合センターが把握し、両社を引き合わせました。

F社はオーナーの高齢化を理由に事業承継先を探していましたが、E社が持つリフォーム事業とのシナジーを高く評価し、M&Aに合意。E社はF社の実績や保有資格を踏まえて、迅速にエコ関連工事へ参入できる体制を構築することができました。このように、新たな分野への足がかりとしてM&Aが積極的に活用されるケースも増えているのです。


11. 工事業M&A総合センターを利用する流れ(売り手向け)

売り手企業が工事業M&A総合センターを利用する際の大まかなステップは下記の通りです。

  1. 初回相談(無料)
    • 自社の概要、経営課題、希望条件を伝え、工事業M&A総合センターからのフィードバックを受けます。
  2. 必要書類の提出・精査
    • 財務諸表や事業内容、許認可関係、経審点数などの書類を提供し、企業価値評価を依頼。
  3. マッチング候補の提示
    • 工事業M&A総合センターが独自のネットワークやデータベースから、買い手候補を見つけ出し、打診します。
  4. 買い手との交渉
    • 条件面のすり合わせや面談を実施。場合によってはオンライン会議にも対応。
  5. 基本合意書の締結
    • 大枠の条件が合意に至ったら、LOIを締結します。
  6. デューデリジェンス・最終契約書締結
    • 買い手企業による詳しい調査が行われ、その結果を踏まえて最終条件を調整。
  7. クロージング・譲渡手続き完了
    • 株式や事業の譲渡と対価の支払いが行われ、M&Aが成立となります。

売り手側は、手数料無料のため、相談やマッチング段階でも費用を気にすることなく積極的に動けるメリットがあります。さらに、もし交渉が成立しなくても大きな損失は発生しないため、リスクを最小化しながら最適なパートナーを探せます。


12. 工事業M&A総合センターを利用する流れ(買い手向け)

買い手企業が工事業M&A総合センターを活用する流れも大まかには同じですが、以下のステップが特徴的です。

  1. 初回相談・意向確認
    • 買い手企業の現状課題(市場拡大、新分野参入、技術力強化など)や、希望する業種・地域・企業規模を伝えます。
  2. マッチング候補の紹介
    • 工事業M&A総合センターのデータベースから、買収ニーズに合う工事会社情報が提示されます。
  3. 詳細情報の収集・面談調整
    • NDA締結後、売り手企業の詳細情報を入手し、必要に応じて面談やオンライン会議を実施。
  4. 基本合意書の締結・デューデリジェンス
    • 買い手企業の視点で重視したい項目(財務健全性、許認可状況、技術者配置など)を中心に調査します。
  5. 条件交渉・最終契約書の作成
    • デューデリジェンスの結果を踏まえ、譲渡価格や雇用継続条件を最終調整し、契約書を作成。
  6. クロージング
    • 対価の支払いと事業引き渡しを行い、M&Aが完了します。

買い手としては、工事業M&A総合センターの豊富なネットワークを活かして、ニーズに合う売り手候補と効率的に出会える点が大きなメリットです。さらに、工事業特有のリスクや手続き面でのサポートを受けられるため、安心してM&Aを進められます。


13. 工事業M&Aの成功を左右するポイント

工事業界でM&Aを成功させるためには、以下のようなポイントが重要です。

  1. 企業の強みを正確に把握する
    • 技術力、保有資格、顧客基盤、地域性などを定量・定性の両面から分析し、買い手にきちんと伝えられるようにしておく。
  2. 従業員や協力会社への配慮
    • 事業の根幹を支える人材や協力会社との信頼関係が損なわれないよう、譲渡後の雇用条件や契約継続方針を明示しておく。
  3. 財務・法務面の整理
    • 事前に決算書や契約書類、許認可関連を整理し、不明点やリスク要因を洗い出しておく。
    • 買い手側はデューデリジェンスでこうした点を厳しくチェックする。
  4. アフターM&Aの統合計画
    • クロージング後の組織統合や業務フロー調整をどのように進めるかが極めて重要。
    • 特に工事現場のリーダー交代や人材育成は、計画的かつ慎重に行う必要がある。
  5. 外部専門家との連携
    • 弁護士、税理士、社労士、行政書士などの専門家との連携も欠かせない。工事業M&A総合センターのような業種特化型の仲介会社と協力し、多角的なサポート体制を構築することが望ましい。

14. よくある質問(FAQ)

Q1. 売り手の企業規模が小さいのですが、相談可能ですか?
A. もちろん可能です。工事業M&A総合センターでは、年商1億円未満の小規模会社から数十億円規模の中堅企業まで幅広く取り扱っています。

Q2. 売り手から手数料を取らなくても、仲介会社として成り立つのですか?
A. はい。買い手企業からの着手金や成果報酬を主な収益源とするビジネスモデルを採用しており、売り手企業に対しては手数料を設定していません。これにより、後継者難に悩む経営者が相談しやすい環境を提供しています。

Q3. 秘密保持はどのように行われますか?
A. 工事業M&A総合センターでは、売り手企業と買い手企業の間に機密保持契約(NDA)を結び、情報漏洩を防ぐ措置を徹底しています。また、社名や具体的な財務情報は、双方の合意がなければ開示されません。

Q4. 地方企業で、公共工事が中心ですがM&A可能でしょうか?
A. はい、地方企業でも積極的に支援しております。特に公共工事を取り扱う工事会社は、実績や入札参加資格が魅力となるため、買い手が見つかりやすい傾向にあります。

Q5. 経営者だけでなく、幹部や役員も退任予定ですが大丈夫ですか?
A. 幹部や役員の動向は買い手にとって重要な検討材料のひとつです。退任する場合でも、事前に技術・知識の承継計画を整備しておくことでスムーズなM&Aが可能です。


15. まとめ

工事業M&A総合センターは、売り手から仲介手数料を受け取らないという稀有なビジネスモデルを採用しながら、工事業界特有の事情を熟知した専門家集団がM&Aの仲介を行うサービスです。少子高齢化や人材不足、後継者難などの課題を抱える工事業界にとって、M&Aは事業承継や経営基盤強化の重要な選択肢となっています。

  • 売り手にとっては、コスト負担の軽減や譲渡条件の柔軟化、心理的ハードルの低減といったメリットがあるため、「とりあえず相談してみよう」と思えるハードルの低い環境が整っています。
  • 買い手にとっては、許認可や技術、人材を一括で取得し、事業を急速に拡大できるため、社会インフラの維持や地域経済への貢献度も高められます。

さらに、工事業M&A総合センターが提供する全国ネットワークときめ細かなフォローアップ体制は、成約後の統合プロセスにおいても大きな力となります。M&Aによって売り手・買い手双方がWin-Winの関係を築きつつ、工事業界全体の発展と地域社会の活性化を支えていく──こうした理念に基づくサービス提供こそが、工事業M&A総合センターの最大の特徴であり強みです。

もし、工事業の後継者難や経営改善、または新規分野への参入を検討中の経営者であれば、まずは気軽に工事業M&A総合センターへ相談してみることをおすすめします。無料での初回相談や企業価値評価によって、具体的な課題の整理や可能性を把握する良い機会となるでしょう。M&Aの一歩を踏み出すことで、企業の未来と、そこで働く従業員や地域をより良い方向へ導くきっかけをつかめるかもしれません。

社会インフラを支える工事業だからこそ、その事業存続や技術継承は地域社会の大きな関心事。M&Aという選択肢がますます重要性を帯びるなかで、工事業M&A総合センターの存在意義は今後も高まっていくでしょう。単なる売買仲介ではなく、工事会社と買い手企業、そして地域の未来をつなぐ架け橋として──こうした役割を担う工事業M&A総合センターは、これからも数多くの成功事例とともに、その専門的な知見と実績を積み重ねていくはずです。今まさに変革期を迎えている工事業界で、安心してM&Aに取り組み、新たな可能性を切り開いていただければ幸いです。